合鍵 ~あたしの不愉快な夏休み~


あきらめて、あたしは階段を下りた。

塔也を待たずに帰ろう。


「おい」


3人のうちの一人があたしに気づいて、指差した。

ちょっと、人のこと指差さないでよね。


「誰だ、あれ」

「おいおい、女だ」

「兄弟いないだろあいつ」

「あいつ、女に興味ねぇってツラして、女囲ってんのか?」


ゲラゲラゲラ。


はぁ。

思わずため息をつく。



「双海さんに、今日は帰りますって、言っといてもらえますか?」


あたしが言うと、また騒ぐ。


「双海さんだってよ」

「おい、かわいくね?」


……いいよ、そういうの。




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