合鍵 ~あたしの不愉快な夏休み~
(マンガじゃなかったんだ)
マンガどころか……
これは……
見たものを脳内で処理できないまま、口をあんぐり開けて本棚を見上げて呆けていたあたしは。
ふと病人のことを思い出した。
(いけない、お布団持っていかなきゃ)
中央の本棚の奥に首を突っ込むと、質素なベッドと机があった。
ベッドには薄い肌掛け布団がたたんで置いてある。
(これでいいかな)
ベッドの横のポールに制服が無造作に掛かってた。
きらりと光るNの文字。
ちいさな光る校章が目に入った。
次へ
前へ
この小説の表紙へ
HOME