合鍵 ~あたしの不愉快な夏休み~
***
「起きろ」
肩をだれかがトントンと叩いた。
「あれ?ここどこ?」
一瞬状況がわからないあたしを、
「うわ、すげー寝ぼけた顔」
バカにしたような声が襲った。
顔をあげると、目の下にはリビングテーブル。
目の前には、ニッと笑う整った顔。
……誰だ、これ。
(なんだこの爽やかな顔は……)
シャワーでもしたらしく、濡れた髪が後ろに流れてた。
首にベージュのタオルを掛けて、髪を無造作にがしがしと拭いてる。
鬼太郎ばりの前髪がないとこんなに爽やかなんだ。
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