合鍵 ~あたしの不愉快な夏休み~


塔也は眉間にシワをよせて、片手で頭を抱えた。


「………クソッ」


クソとは何よ。



それにしても、寝起き時とみまごうほどの不機嫌な顔。


だめだこれは。

触らぬ神にたたりなし。


あたしはソファの上の物体を無視して宿題を続ける。



……どうしたんだろ。

デートだとしたら、喧嘩でもした?


……喧嘩したなら、きっとアンタのせいだよ。

きっと彼女に不機嫌な顔さらしたんでしょーが。


あたしはふと思い出す。


「女にキョーミーねぇってツラして」


あのとき、麻雀してた塔也の友達がああ言ってた。


……彼女、いないのかな。



……かんけーない、かんけーないっ




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