不感症で悪かったね
「杏奈、今日部活いなかったよな?」
グラウンドの端の木陰にいたあたしの姿を見て、颯太は駆け寄ってきた。
「うん」
「どしたの?」
「えっと……ちょっと用事があって……」
「そうだったんだ。
……着替えるまでちょっと待ってて」
部室へ向かおうとする颯太の背中に声をかける。
「待って」
「え?」
颯太は驚いたように振り返る。
「どしたの?」
「……ちょっと、話があるの」
「……?後じゃダメ?」
「今、話したいの」
「……わかったよ」
ちょっぴり不満そうな、怪訝な顔で、颯太はあたしのそばに戻ってきた。