Calm Light



3.


バイトが長引いて、終わるのが23時近くになった。

急いで帰ると、部屋の電気はもう消えていた。


未怜の部屋をそっと覗くと、すやすやと寝息が聞こえる。

枕元の電気スタンドが点いたままで、読みかけの本を手に持ったまま寝ていた。




昨日と挟んだ指の位置がほとんど変わってない。

未怜はいつもこうだ。

思わず笑ってしまう。


寝る前に本読むの、いいかげんにあきらめたらいいのに。




ざっとシャワーを浴びて、未怜の横にすべりこむ。


「あ……鷹耶。おかえり」

「ごめん……起こして」


未怜は小さな音や気配に敏感だ。

起こさずに滑り込めたためしがない。




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