クロッシング



きらびやかな色とりどりの光をバックに。






「………」






重ねた唇をそっと離すと。


小柄な体を軽くきゅっと抱きしめる。




「電話ちょうだいね、待ってるから」


「……うん」








(サービス過剰だったかな)




こっちを何度も振り返って手を振りながら小走りに帰っていくあの子を見ながら。


思わず肩をすくめてた。




(まだまだ甘いなオレも)




感傷を断ち切るようにくるりときびすを返す。




(さぁて、仕事するか――)




夜は長い。




光のトンネルを戻りながら、めぼしい女に声を掛ける。




「ちょっと飲んでかない?すぐそこだから」










【クロッシング  完】

NNRで投票する!



前へ
この小説の表紙へ
HOME