初 恋
「ちょっと……もう、いいかげんにしたら?」
細い、しかし、鋭い声が背後からかけられた。
教室の一番後ろで、ランドセルを逆さまにして中身を全部出して、それらを踏んだり、破ったりしてた連中がふと顔をあげた。
(おい――)
誰もが内心青ざめて、声の主を探した。
自分が言ったなんて思われたら大変だから。
下手に介入すると、今度は自分がターゲットになりかねない。
いつもこの連中はこうだ。
だれかをターゲットにして、危ないプロレスの技をかけるわ、服を破ったり、殴ったり蹴ったり、靴を脱がせて窓から投げたり、とにかくやりたい放題。
半ばふざけてるんだろうけど、ターゲットにされた方はたまったもんじゃない。