初 恋
6年生になって1ヶ月。
今日もこの20分の休み時間、いつものターゲット――体の小さいやつ――をつかまえて、いじめ倒そうとしてたところだった。
「どいつだ、今の」
この連中の中心人物、佐野ってやつがぼくたちをにらんだ。
「もうやめなさいって言ってるの」
再び集団の内部から声がした。
「……なんだ、堀川かよ」
(未怜ちゃん……)
ぼくは心臓が止まりそうになった。
黒い大きな目できっと前をにらんで、集団から前へ出てきたのは、なんと未怜ちゃんだった。
次へ
前へ
この小説の表紙へ
loading