合鍵 ~あたしの不愉快な夏休み~


きちんとスタンドに整理されて置いてある、明らかに質の良さそうなシャーペンを手に取る。


一番上の問題集を開いた。


(物理……ねぇ)


そもそも取ってないし、まるでわかんない。

答え見ても、全くわかんないよ。


何か、見当違いの間違いしそう。

計算式何行か飛ばしちゃうとか。



……まぁ、夏休みの宿題なんて、先生も中身までいちいち細かくは見ないよね。


あたしは観念すると、まっさらなノートを開いて、一問ずつ答えを写しはじめた。



 *** 



「あの……」


お腹が空いて、ドアを開ける。

もう昼の1時だし。




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