合鍵 ~あたしの不愉快な夏休み~
「ちょっと見せて」
意外に細く長い、きれいな指で、あたしの書いたノートをめくる。
思いがけなく丁寧にチェックしてるので、あたしはちょっとドキドキした。
(何で緊張しないといけないんだろ。
夏休みの宿題代わりにやってあげてるのに)
緊張する自分になんだか腹が立つ。
鬼太郎の眉がすぅっと上がった。
(……何よ、文句ある?)
思わず内心食ってかかったりして。
「気味悪ぃな。
字がそっくりすぎて、オレが書いたみたいだ」
独り言のようにつぶやくと、ノートを机の上に置いた。
気味悪いとは何よ。