合鍵 ~あたしの不愉快な夏休み~
(あたし、何考えてんだろ。病人に対して)
あほくさ。
ちょっぴり自分にあきれた。
「……さむ……い」
塔也は痛むらしい頭を抱えながら、体をぶるっと震わせた。
体が冷えるに決まってるでしょ。
冷房17度にするなんて、正気の沙汰じゃない。
ていうか、風邪引いてると寒気がするんだっけ。
あたしがあげたアクエリアスが、よくなかったかな。
「掛け布団か何かある?」
あたしが聞くと、塔也は顔を上げずに、のろのろと手だけ上げて一つのドアを指差した。
1階の奥の部屋。
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