合鍵 ~あたしの不愉快な夏休み~


「水ね、ちょっと待ってて」


あたしは台所に入ると、勝手に冷蔵庫を開けた。

ほとんど空っぽに近い冷蔵庫に、アクエリアスが何本か入ってる。


(これでいいや)


グラスにアクエリアスを注ぐと、ストローを探し出して、早足で戻る。



この人、一体どれくらいこの状態だったんだろ。

もしかして、土日ずっと?


この人のご両親は、一体?



うつ伏せのまま顔を少しだけ上げて、邪魔な前髪をかきあげてアクエリアスを飲む塔也は。

熱のせいで頬が少し紅潮して、頭痛でもするのか少し眉をひそめて、つらそうな表情。

ほとんど伏せられた目は、意外に睫毛が長かった。



何だか……


妙に色っぽくない……?




この小説の表紙へ
HOME