合鍵 ~あたしの不愉快な夏休み~
さらに上の知識を身につけるために?
高校の勉強なんて、すでに通過してる?
机の上に、広げたままのノートがあった。
あたしとそっくりの字で、見たこともない数式か図らしきものがいっぱい書いてあった。
(………)
あたしは頭を振ると、くるりときびすを返して、病人のもとへ急いだ。
ソファに倒れてる病人は相変わらず死人のようにぐったりしてた。
(確かに、天才ってこんな感じなのかもね。自分の体の状態すら認識してないとか)
でもさ。
人間ってバランスが大事じゃないの?
死体にふわりと掛け布団を掛けると、声を掛けた。
「大丈夫?」
「……」
つらそうに頭を抱えるだけで、返事はない。