合鍵 ~あたしの不愉快な夏休み~
「薬とか、ある?」
「……知らね」
「……」
あたしは思わずため息をついた。
「んじゃ、何か買ってくる」
「……」
「それとも、お医者さん呼ぶ?」
「……」
黙って小さく首を横に振る。
「わかった。他に何かほしいモノは?」
「……」
また横に振る。
あたしは、ちょっぴり心配しつつ、駆け足で双海家を飛び出した。
***
カチャ。
ふたたび、そっと双海家のドアを開ける。
次へ
前へ
この小説の表紙へ
HOME