合鍵 ~あたしの不愉快な夏休み~
「うわ、まだダメだ、頭イテ……」
体を起こそうとして、ほとんど悲鳴のような声を上げて塔也はもう一度ソファに倒れ込んだ。
ふんっ、人をバカにした罰だっ!
「ほら、まだ寝てなくちゃダメだって」
あたしは冷たく言い放ってやった。
「……あんた何か食ったの?」
ソファに沈み込みながら、ふと塔也は言った。
(……え?)
……あたしのことなんか心配してくれるんだ。
「朝食べたきりだけど、お腹空いてないから大丈夫」
「……」
塔也は前髪の隙間から目つきの悪い目であたしをじっと見ると、テーブルに転がっていた財布を指さした。
「あれ取って」