合鍵 ~あたしの不愉快な夏休み~
「叫んでないで、入れば」
むしろなまめかしいくらいの、あでやかな微笑み。
え。
えええ?
え、これって、
もしかして……?
(ちゃんと避妊しなさいよ)
さっきの電話のママの声が脳裏に響いて、勝手に口が開いてた。
「あの……」
「……ん?」
「ちゃんとヒヒヒニンしてよ」
「……へ?」
ソファに少し上体を起こして掛け布団を上げたまま。
少しつり上がった目を丸くして、塔也はしばらくあたしをぽかんと見つめた。
(やだ、あたし何言ってんの!?)
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