合鍵 ~あたしの不愉快な夏休み~
ブーン。
自動ドアが開いて、外へ出る。
(外、出ちゃった。
もう終わりかぁ……)
塔也はさびしくないのかな。
って、さびしいわけないか。
あたしはただの宿題マシーンだし。
優秀な人間に時間を提供する、ごく平凡な一般ピープル。
あたしはとぼとぼと歩き出した。
と、同時に、気づいた。
(あ、合鍵!)
預かってた、塔也の家の合鍵を持ったままだった。
返さなきゃ!
あたしは慌ててUターンした。
ピンポーン。
601号室のインターフォンを鳴らす。
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