合鍵 ~あたしの不愉快な夏休み~
驚愕の表情を浮かべるあたしに、塔也はすねたように言った。
「何だよ、イヤか?」
「……イヤじゃない」
って、あたし何言ってんのぉぉっ
「ちょっちょっと待ってっ」
ソファに仰向けに転がされたあたしの上から、塔也が覆い被さって。
両肩の脇に両手をついて、形のいい唇が近づいてこようとするのを、あたしは必死で止めた。
「……んだよ」
「……だって……」
だって……
塔也があたしと付き合おうと思うような瞬間が、
この9日間のいつにあったっつーのよ。
次へ
前へ
この小説の表紙へ
HOME