合鍵 ~あたしの不愉快な夏休み~
塔也の低いよく通る声が至近距離で聞こえた。
「付き合わね? ってことだよ」
「……は?」
ぽかんとするあたしの腰に、塔也の手がするすると巻き付いた。
「ぎゃぁっっ、手が冷たい! 冷たい!」
「ったく、ムードもへったくれもないな」
塔也は、げらげら笑いながら、あたしを軽々と抱き上げた。
「ぎゃあ、降ろして!」
「もがくな、降ろしてやるから」
ふわりと降ろされたのは、ソファの上。
げっ……
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