呪い殺して -ウォーターカラーズ 番外編-


「玲子さん、お久しぶり。

こないだのドラマ、良かったわよ。

すごく変わった役どころで」


先に座られていた智弘さんのお母さんににこやかに出迎えられて。

わたしは予約していた座敷の引き戸をくぐった。


ここは馴染みの日本料理のお店。

お母さまがたまたま上京されたので、夕食でもご一緒に、となったわけ。


「智弘さんは、もう少ししたら着くと思います。

お待たせしてしまってすみません」

「あ、さっき電話があったわ、智弘から。

少しでも遅れるときはいちいち細かく連絡を入れるの、あの子。

昔からそう。きっちりしてるでしょ」


そう言って、にっこり微笑む。


芸能人だというので当初は緊張していたお母さんも、普通の人間と何も変わらないということを理解していただいたようで。

最近はごく普通に接してくださるのが嬉しかった。


どうしてもドラマの役柄のイメージが付きまとうから、実際のわたしとかけ離れたイメージを持つ方も多くて。




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