呪い殺して -ウォーターカラーズ 番外編-


 * * *


「今日の打ち上げ、結局来れるの?」


千秋楽の日の朝。

智弘さんに聞いた。


「うん、やっぱり例の仕事をしなくちゃいけないから、ちょっと行けないかもしれないね。

顔くらいなら出せるかもしれないけど、時間があるかどうか」


「……そう。わかった」


わたしは頷いた。


「じゃあ、明日から、智弘さんのところへ行ってもいい?

3日間オフだから、ゆっくり出来る」

「うん、待ってる」


美しい黒い瞳が微笑んで。

わたしも微笑み返すと、指を絡めて軽くキスをした。



(智弘さん――


わたしが去ったら、呪い殺してね――)


絡めた指をそっと離して、微笑んで手を振った――



【   完   】


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