小さな芽


「やめろって、言わないの?」


耳元でくすくす笑いながら、胸元に入り込んだ鷹耶の手が素肌をまさぐる。


「……」



鷹耶にとってはただの遊びでも。

このあたしを抱きしめる手を、どこか歓迎しているあたしがいる。

腹を立てながらも。





あたしの中にすでに芽生えていた小さな芽。

あのセダムの切りクズのような、小さな小さな芽。

それが、心の奥にひっそりと根を張り、少しずつ、成長していく。


あたしの知らない間に、意識下で。



そして――





【小さな芽  完】


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