(え……?)
突然心臓がバクバク鳴りだした。
センパイに気付かれるんじゃないかって心配になるくらい。
(ウソ。
あたし、誘われてるんだ――あの都倉凌に)
「それともおまえ、付き合ってるヤツいんのか?
だったらやめとくけど」
「……いないです」
電話の向こうで、フッと軽く笑う声がきこえた。
(何よ……)
失礼な。
「でも、どうして……あたしを?」
「どうしてって……野暮なこと聞くなよ」
カラカラと電話の向こうで笑い声がした。
「5月20日の土曜、春の学祭でやるんだ。
K大学のA棟の++講義室。
つってもわかんねーだろ。
当日は3時ごろ迎えに行ってやるから。じゃあな」
ぶち。
一方的に電話を切られる。