いぢわる。

ゲームオーバー




物憂げな瞳に上から下まで容赦なくジロジロ眺め回されて。

恥ずかしくなって、あたしは思わず下を向いてしまった。

そんなあたしを見て、都倉センパイはニヤッと笑ったように見えた。



K大学の正門をくぐると、店がたくさん出ていて、大勢の人でにぎわってた。


「あの……こんな時期に学祭があるんですか?」

あたしは勇気を出して、前の座席のセンパイに聞いてみる。

「ああ、春の学祭はサークルごとの出店でな。

外部の人間は入れずに内輪でやるんだ。だからうちの学生ばっかだよ」

「え……わたし、外部の人間ですけど……」

「イベントメンバーってことで内輪でいいんじゃねーの。さ、降りよーぜ」


車を降りると、都倉センパイは運転席の人に手を振り、あたしの横を歩き出した。


「ちょっと見ねえうちに色っぽくなったな」

「えっ……?」


突然何を……。

あたしはバカみたいにポカンと口が開いたままになった。


「つーか、制服と体操服以外のおまえ初めて見た」

センパイは無遠慮にあたしの姿をじろじろ舐め回すように見る。

(あんまり見ないでよ……)

そんな目つきで見られると、落ち着かない。



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