――そんなんじゃないってば。
凌があたしの腰に回した手をぎゅっと寄せて、耳元でささやいた。
「大丈夫だから、普段通りにしとけよ、毬香」
小さくぺこりとうなづく。
今や、頼りになるのはこの人だけだから。
いまいち頼りになりそうにないけど。
前のゲームが終わったみたいで。
出演者と司会者がずらずらと控え室に戻ってきた。
「はいはい、被害者は誰チームの女の子、入って入って!
荷物はこのカゴに入れといて」
うながされるままに、ステージに出て行く。
ステージには、ハの字型に10個の椅子が並べてあった。
「はい、女の子はこっちの椅子に座って」
スタッフらしき人に言われるがままに、ステージ右側の椅子に座る。
あたしはどぎまぎしながら、周りを見回した。
(すごい人……)
こわいよ。
周りを取り囲む観客のあまりの多さに、今さらながらビビる。
まるで視線が突き刺さってくるみたい。