いぢわる。

ゲームオーバー




「先輩。

あたし……先輩のこと好きでした」


はっとセンパイが身を離した。

目を丸くして、あたしの顔をまっすぐに見る。


「……え?」

眉をひそめて、怪訝な表情。


「あたし、多分、ずっと好きでした」

その整った顔を見上げて、あたしはもう一度繰り返してた。


この人が変化球を投げるなら。

あたしは直球を投げる。心にストレートに届くように。


「……マジで言ってんの?」

「はい」

凌の目をまっすぐに見返して。


「……なんで……」

凌がつぶやく。

(なんで、って……)

「自分の魅力、わかってないんですね」

あたしは思わずにっこり微笑んだ。


「……」

「……ほら、よくあるでしょ?

虫が炎に魅入られて焼け死んじゃうの。

あんな感じ」

「……何だよ、それ」


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