凌の頬に笑みがのぼった。
ニヤッとした、いやな笑い方。
「今度また、ほんとのカップルで出る? ゲーム」
「絶対イヤ」
二人の唇が、ふたたび近づいて、重なった。
熱く。
「どうでもいいけど、マジでセンパイってのやめろよ」
ニッと笑顔を見せる。
あたしの頬に凌の手が添えられた。
「さっきは毬香のイク顔見れなかったから、ちゃんと見たい」
「やだ! もう……」
「続き、やりたいだろ?」
片方の口角を上げてニッと笑う、嫌味たらしい顔は、すっかりいつもの凌。
「……はい」
恥ずかしい、なんて思う前に、こっくりとうなずいてた。
予想外の反応だったみたいで、一瞬唖然として。
凌は、途端にケラケラと笑い出した。
「ちょ……毬香……
おまえ、素直すぎんだろ……。
調子狂うわ」
凌は、ポケットから鍵を取り出してチャランと鳴らすと、あたしの腕をどこか乱暴に取った。
「来いよ……オレん家、近くだから」
そっと腕を引かれて。
あたしはおずおずと歩き出す。
この人と同じ方向へ。
未知の、きっとぞくぞくするような波乱に満ちた未来へ。
【ゲームオーバー・完】
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