同じ部にいたのはたったの2ヶ月だったけど。
すっごく面倒見が良くて、いくらでも時間を割いてくれて、何でも相談に乗ってくれる。
――そんな頼りになるセンパイだった。
そんな人だからこそ、人望も厚くて、キャプテンに推されたんだろうけど。
いつも目はキラキラ明るく輝いていて、まぶしいくらい。
蓮センパイが誰にでもやさしいのはわかってる。
だから、すごく憧れてはいたけれど、あたしは余計な期待はしなかった。
――蓮センパイが部を引退してからもう4ヶ月になる。
引退しても、ヒマなのか、ちょくちょく部活に顔出してる蓮センパイ。
テニス部時代は短めだった髪がすっかり伸びて、だらりと垂れた前髪から日に焼けた精悍な顔が覗いていて、何だかちょっとドキッとした。
「……すみません」
あたしはあわてて、蓮センパイの腕から身をはがして、何とか平静を装った。