月と花束


(もう3ヶ月経つんだね)


あたしは少ない明かりの中に腰掛けて、ぼーっと考えていた。



誰もいない。

風であたりの木々の葉がざわめく音がするだけ。


もう日はとっぷり暮れて、真っ黒に見える木々のシルエットが、空にかかる白い月をふちどっていた。




(先月は桜がきれいだったな)



ここの木はみんな桜の木。


先月のこの日はちょうど桜の散る時期だった。


無数の桜の花びらが風に散るのを見ながら、強烈な虚無感に襲われて、一人でただただ泣いたっけ。



すべては変化し、やがて失われる。

この散りゆく桜のように。


いつか、必ず。


早いか、遅いか。

それだけの違い。



永遠なんて、ない。



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