初 恋
未怜ちゃんは、ぼくのまあまあ近所の子だ。
クラスが同じになるのはこの6年が初めてだったけど、何度か遊んだことはあった。
まっすぐな肩までの黒い髪と白い肌のせいか、まるでお人形みたいに見える。
おとなしくてそんなに目立たないけど、いつも隅っこでにっこりしてて、みんなと一緒に笑ったりしてる。
ただ、どこか寂しげで、ときどき窓の外を頬杖ついてひとりで見つめてる。そんな感じの子。
――実は、かわいいなぁなんて、ちょっと気にはなってた。
声すらあんまり聞いたことのない未怜ちゃんが、悪ガキ連中に単身挑みかかろうとしてるのを見て、ぼくはひどく動揺してた。
(ちょっと……未怜ちゃん……無茶しないで……)