初 恋
「毎日毎日、あんたたち見てるとウンザリするの。
もういいかげんにして」
「何だとお前、やんのか?」
「誰がやるなんて言ったのよ。
やめようって言ってるんでしょ」
「……」
佐野は一歩ずいっと前へ出た。
いつでもやってやるぞっていう脅しだ。
未怜ちゃんはわずかにびくっと肩をふるわせたけど、一歩も下がらなかった。
「……オレの兄貴はゾクなんだぞっ」
佐野は得意の兄貴ネタを繰り出した。
これはどうやら本当の話らしく、”ゾク”の実態がよくわからないぼくたちは”ゾク”というだけで怯えてた。
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