初 恋
「そうだ!」
「そうだよ!」
何人かが未怜ちゃんに加勢して声をあげた。
佐野が声をした方をキッとにらむ。
未怜ちゃんは、さらに畳みかけた。
「それとも全員、お兄ちゃんかお姉ちゃんか、お父さんかお母さんか連れてきて、ケンカする?
それなら公平でしょ」
淡々とした、しかし、断固とした口調には、凄みがあった。
(すご……)
「何だよお前、オヤジいねえくせによ」
ニヤっといやな笑みを頬に浮かべて、佐野が言った。
次へ
前へ
この小説の表紙へ
HOME