初 恋
「………」
未怜ちゃんの黒い目には、いまや青い炎がメラメラと燃えさかってるかのように見えた。
未怜ちゃんちは実際母一人子一人だ。
(あんなこと言われたら……)
ぼくはおろおろして、立ち上がって加勢しかけた。
ところが。
未怜ちゃんは、しっかりした声で言いはなった。
「……お父さんがいると偉いの?
暴走族のお兄ちゃんがいると偉いの?
……さっきから言ってるでしょ、自分自身の力で戦えって」
「………」
佐野は、無言だった。
次へ
前へ
この小説の表紙へ
HOME