初 恋
「もう帰る?
なら一緒に帰ろ。
方向同じだし」
勇気を奮い起こして、ぼくは帰り支度をする未怜ちゃんに声をかけた。
「琢磨くん……」
未怜ちゃんは驚いたように振り向いてぼくを見上げる。
ちょっぴり恥ずかしそうにうつむくと、やがてこっくりとうなずいた。
その様子は、とても佐野に挑みかかったのと同じ子には見えなかった。
あの強さは、一体どこから来るんだろう。
(未怜ちゃんのこと、もっと知りたいな)
もっといろいろ話したい。
もっと近づきたい。
……未怜ちゃんに。
次へ
前へ
この小説の表紙へ
HOME