合鍵 ~あたしの不愉快な夏休み~
重たいドアをそっと開けると、中はいつもながらとても静か。
あたしは足音を立てないようにそっと歩いて、リビングをのぞいた。
ソファから落ちかけてる人が約一名。
やっぱり寝てた。
ソファにうつぶせに倒れて、片手が床に垂れ下がってる。
てか、死人だよ、これじゃ……。
落ちた手のそばに、カバーがかかった本が転がってた。
……。
いい。
この人の存在は忘れよう。
あたしは泥棒さながらにこそこそと階段を上がろうとした。
「わっ」
ドサッ。
背後で何かの落ちる音。
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