合鍵 ~あたしの不愉快な夏休み~


振り返ると、半死人がソファから見事に落下してた。

「イッテ……」

片手で頭を押さえながら、ゆらりと立ち上がる。


「くそっ、何だよ、おどかすなよ」


長い前髪の間からあたしをにらみつけた。

恐ろしく悪い目つきで。


「………」


(目が怖いよ、目が……)


それにしても。


どうしてあたしがそんなこと言われなきゃいけないのよ?

理不尽な扱いについ腹が立ってしまった。


あたしは、塔也のあまりの不機嫌さにビビリつつも、目をまっすぐにらみ返した。


「あたしは10時からといわれて、10時にここに来てるんです。

10時過ぎても寝てる人に文句言われる筋合いはないと思いますけど」




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