合鍵 ~あたしの不愉快な夏休み~


わずかにあたしの手を握り返した塔也は。

苦しげに目を伏せたまま、ほんの少し口を開いた。


苦しげな声がわずかな隙間から漏れた。


「……入れよ、ここ」

「ここって何よ」

「寒くて死ぬ」

「……は?」


(何それ……)


あたしを湯たんぽ代わりにしようっての?


何この展開。

古典的すぎるよ。


絶対その手には乗らないからね!


「マジ頼むわ……」


あたしの手を握っていた手が、ぐいっとあたしの手を引っ張った。




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