合鍵 ~あたしの不愉快な夏休み~
「ちょっ、ダメだって、そんなの……」
「……ケチ」
「ケチって何よ!」
「大声出すなよ、頭イテぇ」
「ちょっちょっ……」
塔也の手がするすると伸びて。
あたしの腕を這って背中にまわって、あたしの体をぐいっと近づけた。
「冷たいっ手が冷たい!」
「るせーな」
「うるさいって何よっ」
「……」
あたしはこういうのは、ムードのある色気のある感じでやりたいんだってばーーッ
病人に湯たんぽ代わりなんて、やだーー
腕だけ冷たい手で布団に引き入れられて、あたしはその場を動けなくなった。