合鍵 ~あたしの不愉快な夏休み~


(ちょっと何これ、中途半端すぎるよ……)


腕を湯たんぽ代わりなんてさ。


(どうせなら、体ごと布団に引き入れてくれたらいいのに)


そしたら……


ボッ


頭に血がのぼった。

あたし何考えてんだろ。




さっきの、(そしたら……)の後は一体何?


(そしたら……寄り添って、手だけじゃなくて体ごと暖めてあげるのに)


ボッ!

違う違う!断じて違う!


あたしは必死で首を振った。



(そしたら……こんな、ソファの横で中途半端な姿勢で腕だけ引っ張られないで済むのに)


そう!そう!こっちだ!


あたしは納得して必死で大きく何度もうなずいた。




この小説の表紙へ
HOME