小さな芽
色とりどりの”セダム”の芽は小さくて、とてもかわいらしくって。
あたしはついつい童心にかえって、お料理みたいに土にいろんな種類のセダムを飾り付けてた。
別に”捨てられたモノ”みたいな感傷があったわけじゃない。
あたし自身も捨てられたからって、この小さな芽と自分を重ね合わせてた、ってわけでもない。
ただ、こんな小さいただの葉っぱの切りくずが本当に育つのか、見てみたかった。
2,3ミリから、大きくてもせいぜい数ミリの、こんな小さな葉っぱが。
――それだけ。
「大体こんな感じかなぁ……」
成果物に満足しながら、手についた土をパンパンと払う。
「未怜って、捨て猫とか拾ってくる方?」
鷹耶は、ふと興味が沸いたのか、あたしの隣にしゃがみこんだ。
ウッドデッキにこんもり盛り上がってるセダムの小さな芽を、細い指先で持ち上げて眺めてる。
「うーん、どうだろ。
生まれたて、みたいなかわいい子猫だったら、誰かが拾うだろうから拾わないかも」
「何だよ、それ」
「大きくなってくると、猫って媚びるでしょ。
それに、この人は自分を大事にしてくれるかっていうのを、じっと顔見て見分けようとしてくる。
そうなってきたら、可愛げがないから拾っちゃうかも」
「……」
鷹耶は何も言わずに、あたしを見てニッと笑った。