「ここ、ここ。
とりあえず入って座っといて」
大きな建物に入ってすぐのドアを指差す。
ドアには、でかでかと派手なポスターが貼ってあった。
「イベントサークル楓 ちょっとHなゲームイベント R-18」
(――ちょっとH?)
「あ、この子出演者だから」
センパイは受付らしき人にそう言うと、あたしの肩をぐいっと押して部屋に入れた。
そこは、半円状に座席がずらっと並んでいる、ひどく広い部屋。
(水族館のショーの座席みたい)
一番後ろの開いた席にそっと座る。
もうイベントは始まっていて、びっしり入ったお客さんの歓声が部屋全体にとどろいていた。
(たくさん入ってるなぁ……チケットいくらなんだろ)
何となくそんなことを考える。
センパイが横に座ったのを見て、あたしは気になっていたことをおずおずと切り出した。
「センパイ……あの、R-18って書いてあったんですけど」
「ああ。大学生だから18歳以上だろ。ふざけてんだよ」
センパイはこともなげに答える。