高2でファーストキスがまだなんて、遅れてるかな。
両親がやたら厳しかったし、
あたしもその辺オクテというか、何だかいけないことみたいに思ってたところがあったりする。
ふと気付いたら、センパイの手がうなじから後頭部の髪をまさぐってた。
(あ……)
いま一瞬、ここがどこで今何してるのか忘れてた。
(こんな状況じゃなければいいのに……)
はっと我に返る。
何考えてるの? あたし。
(こんな状況じゃなきゃ、そもそもあの都倉凌とキスなんてするわけないから)
幸い、被害者じゃなかったみたい。
ディープなキスはせずに済んだ。
(よかった……被害者じゃなかったみたい)
心臓がばくばく鳴って。
最中も何やら司会者の実況が入ってたけど、あたしはとてもそれどころじゃなかった。
「はい、終了ーー!
はい、審査員は審査してね」
審査が進む間、凌はあたしを抱きしめたままだった。
ふと気付くと、あたしも凌の腕にしがみついていた。
(わ、やだ……)
慌てて手を離して見上げると、ふてぶてしく笑う凌と目があった。