いぢわる。

ゲームオーバー




何これ。

……ほんとに被害者だ。あたし。

ひどすぎるよ。



(もうやだ……)


ゲームの終わりが告げられると。

あたしはカバンをひっつかんで、一目散にダッシュで走って逃げた。

怒りと恥ずかしさでパニックになったまま。

一刻もそこから離れたくて。


(……あ……れ?)


出口を出ると、渡り廊下に出てしまった。


(反対側に走っちゃったのかな)

どうやら方向を間違えたらしい。

(どうしよう……)


でも、戻れない。

戻ったら凌がいるから。

あの人の顔なんて見たくない。


しょうがないので、あたしは渡り廊下の向こう側の校舎に入っていった。

(いいのかな? ここ入って……)

でも、しょうがない。

向こう側に出口があるでしょ、きっと。

迷いつつ、重たいドアを苦労しながら開けたところで。

いきなり後ろから腕をぐいっとつかまれた。


「きゃあッ」

「待てよ、どこ行くんだよ」

半分笑ったような声。


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