いぢわる。

ゲームオーバー




(……?)


――ガタン。


一瞬のためらいをよそに。

無慈悲な音を立てて、ドアは閉まった。


どこか無防備な姿が、目に焼き付いてた。



(先輩……さっきのこと、ほんとなの?)


動揺しつつ、あたしは頭を振って、廊下を歩き始めた。


(――まさかね)


だめ。

あんな人にこれ以上振り回されるのはもうやだ。


一歩一歩歩きながら。


少しずつ少しずつ。

淡い、しかし、抑えきれない感情が、じわじわとしみ出す泉のように心の奥からわき出してきて、あたしを惑わせた。


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